サイト内検索
ホーム アクティブSITAとは お問合わせ リンク サイトマップ
稲城市「教員夏季研修会」への参画

       目  次
T.経緯やいきさつ
U.担当の講座
V.準備について
W.学校におけるITの現状
X.事前アンケートについて
Y.講座内容と事後アンケート
Z.講座を終了して

T.経緯やいきさつ

 2004年6月、稲城市教育委員会から同市に所在する富士通株式会社に対して、「教員夏季研修会」の講座実施の協力要請が寄せられました。

 富士通は同市に永く所在していることもあり、市内の学校へパソコン(以下、PCと記述)製品を多く納入している関係から今回の講座の要請となったものですが、しかし実際のいきさつは下記の枠中に記述いたしましたが、富士通側から「学校でのIT教育の普及拡大・改善」のために協力を申し出たところから始まったのです。
 
 本件の富士通での対応部署は、下記枠内の経緯、CS活動の取組みなどの関係から ユビキタスクライアント事業部PC開発部が担当しました。

  富士通南多摩工場のユビキタスクライアント事業部PC開発部のA課長の子息が同市の中学校に在籍しており、A課長がPTAの『親の勉強会』に参加してみて次のようなことがわかったと記述しております。同時にPCメーカーの社員としてこの問題にどのように対処してよいのかなどの問題に突き当たったようです。
 
 【内 容】

 「職員室のIT化が進んでいないことを目の当たりにし調査を開始した。その結果、パソコンに詳しい先生が全ての学校に配置されているとは限らず、PCをどのように使うのか?誰が教えられるのか?などで悩んでいる学校があるということがわかった。また、親の立場で考えてみると、学校で子どものITマナー教育がなされていないことが問題であることが浮かび上がってきた。子どもへのIT教育の場として、自治体・教員・父兄・メーカーにも共通のターゲットである子どもたちを本当のエンドのお客様と位置づけ、現在、気になっているマナー教育を始め、さまざまな視点での問題や課題をクリアする製品・サービスを掘り起こしたい。」

 このような想いから、上記課題のクリアのためにCS活動のテーマとして取り上げ、下記3講座を提案し、教育委員会もこれに賛同し実施の運びとなったのです。
 
 同社部内では、企画などは同部が行うにしても講師陣をどうするかの検討の中で、同社OBであり、また私たちの顧問である花房氏を通じて、PC指導経験の豊富な私たちに打診があったものです。私たちも協力を申し出て、企画の段階から参画し講座を組み立てることになりました。
 
 また、この講座は、終了後も受講者に対する掲示板を利用したサポートの実施、さらに、来年度以降も継続的に実施することを提案しております。

U.担当の講座

 同教育委員会からの具体的要請内容は、毎年実施の「稲城市教員夏季研修会」の27講座の中の「ITやパソコンを使った」下記3講座の実施です。

1. 「インターネットを安全に使うために」
子どもたちがパソコンを知り、その活用が進むとともに遭遇するさまざまな危険を具体的な事例で紹介。ネット・セキュリティの必要性を学ぶ。
(現実に、講座の開講の少し前に、佐世保の小学生による殺人事件などが発生している。)

2. 「パソコンを使った授業を作ろう」
グループメンバーが知恵を出し合い、講師・アシスタントの支援を受けながら実際の授業で使えるコンテンツの作成を目指す。

3. 「ネットコミュニケーション力」
リアルコミュニケーションとネットコミュニケーションそれぞれの、利点欠点を体験し、ネット上でのコミュニケーションの活用の仕方・対応策を学ぶ。

*上記の中の1.2.を私たちアクティブSITAが担当し、3.はJMAC(日本能率協会)が担当しました。

V.準備について

1. 準備のための第1回の打合せは、6月29日に富士通南多摩工場(JR南武線南多摩駅下車)で実施致しました。当日は、富士通側で既に作成していた本講座の企画案の説明があり、その企画案に対する意見交換からのスタートでした。
2. 本プロジェクト(富士通&アクティブSITA)の打合せ会や、教育委員会との打合せ、講義の現場で ある中学校のPCルームでのパソコン環境の調査やテストのための訪問など、約2ヶ月間で12回 の回数を数えました。
3. またこの間、教育現場でどのようにPCを利活用した授業を行っているのかなどの調査のために、相当な量のインターネットを検索して見て回りました。初めての経験でしたが、その利活用の状況を垣間見ることが出来たことは貴重な体験でした。
4. この2講座のアクティブSITAでの担当は、「インターネットを安全に使うために」は佐藤会員、「パソコンを使った授業を作ろう」は私、菊池が担当することになりました。
佐藤会員は、現在も教育関係の仕事に携わっており、その道に精通しておることから本企画のリーダー役を果たしました。

W.学校におけるITの現状

本プロジェクトへ取り組んで丁度一月経った7月28日の朝日新聞(全国紙)朝刊にこのような記事が掲載されました。
『IT使った授業できる先生6割』
    ―100%達成、2年後困難―
との文部科学省の調査結果の発表でした。
教育界が一般企業状況よりもかなり遅れていることの感を抱かせました。
X.事前アンケートについて

1. 「インターネットを安全に使うために」の受講生は10名でした。
アンケートは事前に「情報モラル」を中心に講座を構成する予定でした。しかしながら、現場からは「何故パソコンを使うのか?」などの疑問が寄せられたことから内容を再編成し、「教育メディアとのかかわり」から「著作権」までを扱うことにしました。

準備した資料は次の資料です。
(1) 講義用資料(10ページ)
(2) セキュリティ関係新聞記事(6ページ)
(3) 「学校教育と著作権」ケーススタディ著作権 第1集 1冊
「マルチメディアと著作権」                1冊
*(3)については「社団法人著作権情報センター」より提供

2. 「パソコンを使った授業を作ろう」講座では、受講の先生方に事前アンケートをお願いしました。
大変残念なことでしたが、本講座の受講の人数はわずかに4名でした。
アンケートは3人からしか頂けませんでしたが、「好き」が1名、「苦手」が2名でした。
苦手な先生たちからは、「自分自身PCの苦手意識が強いので、この講座で、授業での利用方法を知り、良い刺激にしたい」
「『調べ学習』が中心ですので、それ以外の利用の仕方を学びたい」などの声が寄せられました。

Y.講座の実施内容と終了時のアンケート

1. 「インターネットを安全に使うために」
場所:稲城第一中学校
講習時間:2時間
参加申込者:12名(参加者:10名)
(1) 内容
研修の流れとしては【講 義1】【講 義2】【実 習】の流れを考えました。
講座全体の内容が多く、2時間と言う制限時間内で十分に触れることができないため詳しい資料を作り、補うことにしました。
研修では「感じてもらう」「体験する」を中心に実施し、家庭や学校に戻って「考えてもらう」「伝える」を課題としてもらうことにしました。
「考えてもらう」では「教科で」「道徳で」「総合的学習の時間で」と言う具体的なことを、「伝える」では「座学で」「問題解決学習で」「体験学習で」と言う手段を方法論も含めて講義の中でIEとOEのセキュリティ設定画面で実際に参加者に体験してもらいました。
「実習」ではある程度のストーリーを持たせてHPの閲覧をさせて、「子供たちが接するHPにはどんなものがあるのか?」などを体験してもらいました。
普段接していない「掲示板」や「チャット」を体験してもらいましたが、時間の制約のため十分とは言えませんでした。
講座全体の時間は実習部分が伸びて、参加者の同意を得て15分延長の形となってしまいました。

資料「インターネットを安全に使うために」はここから見ることが出来ます。
 
(2) 終了時のアンケート結果

  この講座は最終的に受講者は10名で、男性5名と女性5名でした。また、その年齢は20代が1名、40代が5名、50台以上が4名で、その方々の所属は小学校8名、中学校2名でした。
    Q1 講習に対する満足度(すべて5段階評価でしたが100%となったところで以下は省略します。)
 A  満足    40%  B やや満足  60%
    Q2 講師の説明
 A  満足    70%  B やや満足  30%
    Q3 PCの利用状況
       PCの所有
 A  持っている   100% B 持っていない    0%
       PCの使用頻度
 A  毎日使用  B 週1〜2 C  月数回 D 無回答
66% 33% 0% 1%
       インターネット利用頻度
 A  毎日使用  B 週1〜2 C  月数回 D ほとんど使わず
30% 30% 30% 10%
       インターネットの手段
 A  主にPC使用  B 主に携帯電話使用 C  PC・携帯同じ位
50% 30% 20%
 
    Q4 インターネット利用に対するメーカーへの希望(主なものを記述)
       (1)ネットマナーが表示される仕組み
       (2)ネットの使い方が学べる教材ソフト
       (3)手軽なウイルスソフト
       (4)子どもと教師をつなぐ通信の仕組み
       (5)仮想と現実の違いを実感できる仕組み

       などが上位5位となりその希望は「強く希望」している。

    Q5 PCに関する講習内容の希望(複数回答あり)
講習内容 A  B   C  
ソフト(Word、Excel、P・P)     40     30     0
インターネット活用 60 20
情報セキュリティ 50 20 10
その他 20 30
*A=強く希望する B=まあ希望する C=あまり希望しない
*単位:%
 
このアンケートの結果をまとめると
受講者の年齢は40代と50代以上が9割を占め、年齢が高いほど講習内容に関する興味が高いことが伺えます。また、その内容と講師の説明では「満足」と「やや満足」をあわせると全員が「満足した」と判断できます。さらに、PCの所有では全員がPCを所持していますが、その利用率は「毎日使用している」が6割を越え、「週に1〜2回」が3割弱でした。また、インターネットの利用状況は「毎日利用している」「週に1〜2回」「月数回」がそれぞれ3割ずつで、教員のインターネット利用状況は低いことが明らかとなり、その手段について聞くと全員がPCを所有しているものの「主にPCを使用している」が約半数で、携帯電話の利用が3割となっています。また、講習内容については「強く希望する」「まあ希望する」を合わせてすべての内容について6割を越える割合で「希望」しており、特に「インターネットの活用」が8割となっている点が注目されます。いずれにしても教育現場ではパソコンの講習を「希望している」という傾向が強いことが分かりました。

2. 「パソコンを使った授業を作ろう」(内容・スケジュールの詳細)
場所:稲城第一中学校
講習時間:12時間(8/23〜24日)
参加申込者:4名(参加者:4名)
(1) 内容
本講座は、講師からの説明形式ではなく、受講の教員の方に「感じてもらう」「考えてもらう」「体験してもらう」のコンセプトの参加型・体験型の講座の実施を考えました。
研修の流れとしては【手法・技術習得】【参考作品閲覧】【作品(コンテンツ)つくり】の流れで実施しました。
具体的には、教員の皆さんが常日頃パソコンを使ってこんな授業を作りたいと思っているコンテンツ(15分間授業)を作成する実習型講座です。
当初の企画段階ではグループごとに企画から内容までを考えてもらい、講師・アシスタントの支援を受けながら実際の授業で使えるコンテンツを作成するものだったのですが、少人数になったためにグループの組み立てが出来ず、アシスタントも企画作りに参画して、個人ごとに作品を作っていただきました。
講座の内容・時間配分等は上記「詳細」の中にありますが、結論はPowerPointを使っての授業を作ることとし、そのために初日は、【手法・技術習得】【参考作品閲覧】です。
2日目の【作品(ココンテンツ)つくり】は、初日の後の宿題としてコンテンツの企画を持参するようにとのことで考えていただきました。
実際作品づくりに取り掛かると単に「アニメーション」「音楽」挿入だけでなく自分の声の「録音」や「ムービー」まで進み、結果的には1時間の時間延長を行いほぼ完成を見ることが出来ました。

テキスト「パソコンを使った授業を作ろう」はここから見ることが出来ます。

受講生の作品です→ 
 (画面が開いたらクリックしてください)
(2) 終了時のアンケート結果
 
  第1日目
   Q1.本日の講座内容についてお聞きします。内容について満足されましたか?
 A  非常に満足 75% B 満足  25%
とても丁寧に説明していただき、初めて聞く内容がほとんどだったのですが、あせらずに取り組むことが出来ました。
ほとんど文書作成しか経験が無かったのですが、今日勉強したことで、パソコン活用の幅がとても広がったようです。
  
   Q2.講師、スタッフについて聞きます。説明やサポートは満足されましたか?
 A  非常に満足 100% B 満足   0%

   Q3.もっと詳しく聞きたい内容や、関心をもたれたことなどをお書きください。
PCを併用して授業を行うと、視覚的な効果でより関心を持たせることが出来そうで、今日勉強したことを早く使いこなせるようになれると良いと思いました。
ツールバーの操作方法の中にはじめて知ったことがたくさんありました。
 
   Q4.ご紹介したサンプル(PowerPoint、Word、Movie Maker、蔵衛門)などについてお聞きします。
     今後のコンテンツ作成において、参考になりましたでしょうか?
 A  非常に参考になった 50% B 参考になった 50%
Movieが大変参考になりました。
これからの資料作成や授業に使えそうです。

  第2日目
 
 使用されたソフト名:個人によって差がありますが、PowerPoint、Word、Excelなどでした。
   Q1.講師・スタッフについてお聞きします。説明やサポートは満足されましたか?
 A  非常に満足 100% B 満足  0%
とても親切に教えていただけて、初めてことが多かったのですが、一つの形が出来上がり、たいへん喜んでおります。

   Q2.スケジュールの時間配分、研修内容説明のスピードは適切と思いましたか?

適切だと思います。最初のコンテンツ作成時間だと少し足りませんでした。
(状況判断の中で、コンテンツ作成時間を1時間延長した。)
授業時間を延ばしていただいてよかった。もっともっと作りたいと思いました。 また、発表という形も、他の方たちの作品を見ることが出来たので良かった!
初心者の私でしたが、説明内容も早さもとても適切でしっかりと作業をすることが出来ました。

   Q3.ご利用されたソフトウエアについてお聞きします。今後授業で活用したいと思われましたか?
 A  積極的に活用したい 50% B 機会を見て活用したい  25% C 活用にはまだ課題が残る 25%

   Q4.もっと詳しく聞きたい内容や関心をもたれたことなど・・・

鑑賞の授業用に写真をとり入れたり、文字を入れたりすることができるので早く使いこなせるようにしていきたい。
PowerPoint にはとても関心を持ちました。アニメーションの動かし方や音の入れ方などもできるようになるともっと活用できると思いました。
ビデオ編集、音声録音などをもっと勉強したいです。

   Q5.今後、「パソコンを利用して、このような内容で研修を開催して欲しい」と言ったご要望や
      パソコンを使った授業についての心配事などのご意見があったらお書きください。
今日はじめてPowerPointを習って、果たして授業が作れるのか不安でしたが、教えてくださってパソコン利用の幅がぐっと広がったような気がします。研修が楽しくなってきました。 ありがとうございました。
今回の研修には不安を持ちつつの参加でしたが、説明を聞きながら作業をして、その不安もなくなりました。「パソコンを使った授業」については、準備する時間的余裕の問題と操作する技術的な問題を私自身感じていますが、子殿たちが意欲的に取り組む方法として有効と思います。個人的に努力してみようと思います。

Z.講座を終了して
1. 「インターネットを安全に使うために」
 事前アンケートから受講者が求めている内容が幅広く、とても2時間(講義+実習)では難しい印象を持ちました。従って、少し詳しい資料を作り、後で「振り返り」ができるように考えました。また、著作権・肖像権の問題はインターネット時代に入り必要なものですから前記した2冊を入手して配布しました。また、「常時接続の落とし穴」「ウイルス」「次世代OS」「ネット家電」「次世代ネット利用技術−グリッド−」に関する記事を資料として配布しました。
 実習ではIEのセキュリティ設定やOEの表示、セキュリティ設定を実際の画面を見ながら確認してもらいました。
 今まで実際に自分で設定したことのない方が多く、参加者の興味と関心を得られたようです。また、掲示板やチャットは初めての方が多く、最初は戸惑っていましたが、やがて笑顔に変わりました。
講義・実習いずれも参加者の熱意が感じられた2時間でした。
2.
「パソコンを使った授業を作ろう」

 講座のはじめに、「Wordを使ったことがありますか?」の質問に一人だけが手を挙げました。残りの3人の方はWordの未体験者でした。
 こんな状況で、本当に、「授業のコンテンツ」を作ることが出来るのだろうか・・・?はっきり言って大変心配でした。
 しかし、2日間の講座を終えての結果は、受講の先生たちのPowerPointの作品を見ていただければお分かりの通り、見事な作品が出来上がりました。先生たちも楽しみながらも真剣に取り組んでくださった結果です。
 そして何よりも嬉しいのは、「果たして授業が作れるのか不安でしたが、教えてくださってパソコン利用の幅がぐっと広がったような気がします。」や「子供たちが意欲的に取り組む方法として有効と思います。個人的に努力してみようと思います。」と皆さんが「PCを使った授業を作る」ことに意欲を持って下さったことです。

 こうして私たちが、教育界の方たちとの交流を持つのは初めての経験ですが、A課長の言う学校の現状、即ち「PCをどのように使うのか?誰が教えられるのか?などで悩んでいる学校がある。」ことや「学校で子どものITマナー教育がなされていないことが問題であることが浮かび上がってきた。」などの解決に向け、このような講座を通じてお役に立てるように今後とも頑張ってまいります。

 最後に、今回の講座がアンケート結果の通り、成功裏に終了できたのは2ヶ月間にわたる綿密な準備をチーム一丸となって行ってきた成果と思っております。この(アンケート)結果を得て、『教える』仕事に大いなる自信を持つことが出来ました。
 また、新たな分野での貴重な体験が出来たことを大いに喜ぶと共に、今回の体験によってMicrosoft社が主催する『NPO支援プログラム』公募事業へ「教科指導支援プログラム」として応募することが出来たことを付言させていただきます。
(文:菊池 佐藤)
前のページに戻る   ページ先頭へ
NPO法人・アクティブSITA
Copyright(C)2006 active-sita. all rights reserved