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はじめに
第1回:LANの接続
1.家庭内LANを何故作るのか?
2.どんなネットワークを組んでいるの?
3.ネットワークを体系的に理解しよう
4.LANの接続設定の手順
5.イーサネットとTCP/IP

はじめに
 アクティブSITAの月例会で3回にわたり勉強会を行いました。そこで使用した資料に加筆し、連載講座「パソコン・ネットワーク」を掲載します。勉強会に先立ち、アクティブSITAの会員にアンケートで「どんなことを知りたいですか」と尋ね、寄せられた沢山の回答を整理し、次の様に5つの課題を抽出して、勉強をしました。

LANの接続設定の手順を教えてもらいたい
 →課題@ LANの接続

どういう条件下でルータとハブを使い分けるのか?
ルータの基礎をわかりやすく教えてもらいたい
ルータのファイヤーウォール設定などをする場合の留意事項は?
 →課題A ルータ、ハブなどのネットワーク機器の機能

OSが異なるPCを接続するときの条件は?
ピア・ツー・ピアで接続した場合、OSが相互に違うときの共有設定方法は?
Windows XPでLANを組む場合の注意点は?
OSが異なるPC間でのプリンタやファイルの共有設定はどうするのか?
DHCP、DNSの機能は、どこにあり、どう利用されているのか?
Windowsでは、IPアドレスをExplicitに指定しなくても、クライアント/サーバ型の接続ができるようだが、その仕掛けは? IPアドレスをホストからもらう仕掛けは?
 →課題B Windowsネットワーク

プロバイダーの異なる友人宅のLANに繋いでインターネットをする時の設定方法
LAN内で、複数のプロバイダーに繋ぐことができるか?
ノートパソコンを持ち寄って、インターネットを楽しむには、どうしたらよいのか?
 →課題C ISP接続

ネットワークのセキュリティ:利便性とセキュリティのバランスよい方策について知りたい
DMZネットワークを含めたネットワークに関する講座を希望
ADSLモデムのタイプと機能は(ファイヤーウォールの機能があるようだがよく分からない)?
ノートンのInternet Securityを入れていると、LANで、相手のパソコンが見えなかった。ファイヤーウォールをオフにすると見えた。セキュリティ関係のソフトはどうするべきか?
 →課題D ネットワーク・セキュリティ

 ここでは、これら5つの課題を順番に、月1回のペースで6回の連載にすることとします。6回目は「まとめ」とする予定です。

 ところで、巷には、ネットワークの解説本や雑誌が溢れていますし、WWWでも容易に優れた解説記事を読むことができます。ですから、素人が駄文を綴っても付加価値はないのですが、筆者自身の勉強のためという極めて個人的な動機づけで、ウェブに公開する次第です。ですから、もし例えば、家庭内LANで問題をかかえている方が、その解決に少し役立つものをここで見つけたとでもいうことになったら、筆者の望外の喜びです。

 参考にした多くの書籍やウェブサイトに感謝し、主なものを末尾に「参考資料」として掲載します。本文で不明な部分がありましたら、それらを参照にしていただくか、筆者までメールで連絡して下さい。
(メール連絡先:fmakita@active-sita.com ) 
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第1回:LAN接続


1.家庭内LANを何故作るのか?




 先ず、家庭内にパソコン・ネットワークがなぜ必要なのかということを説明しましょう。

 家庭内にLAN(Local Area Network)を構築すると言うことは、少し前までは(およそ5、6年前?)、資金的に大変で、考えられなかったことでした。

 ところが今や、パソコンをはじめ、ハブルータなどのネットワーク機器までも安価になり、パソコンOS(Operation System)として主流のWindowsのネットワークコンポーネント(OSに実装されている通信関係のソフト)が充実し、個人でLANを構築することが容易になり、経済的に成り立つようになりました。

 家庭内に複数のパソコンがある場合、それらを結び、お互いが保存しているファイルを容易に共有して作業をしたり、プリンターやCD-ROM / R / RW / DVDディバイス等をどのパソコンからでも使えるようにしたりする、リソース(資源:resource)の活用が、費用対効果を考えると、得策と言えるのです。

 そして最大の得策は、インターネットへ接続する通信手段が1つあれば、どのパソコンからでも何時でも、同時に、独立にインターネットにアクセスできることではないでしょうか。さもないと左図の左側の様に、いちいちケーブルの接続を替えなければならず面倒ですし、接続部分の故障も起き易いでしょう。

 各パソコンにLANカード(正確にはNIC[Network Interface Card]という)を実装し(最近のパソコンにはほとんど標準で実装されていますが)、RJ-45 端子からLANケーブルで、ハブかルータを介して、各PCをスター状に接続すれば、上図右側の様にLANの土台は出来上がりです。土台だけではまだ動きませんが。

 例えば、「家」の建築では土台打ちから始まり、柱、棟、屋根、壁、内装等々と何層にも構造が分かれ、建築作業も分業化されています。その類推で、ネットワーク構築も何層にも分かれます。一般に、ネットワークでは「7層」構造(インターネットでは「4層」構造)として考えます。

 急に抽象的で難しいことを言い出してしまいましたので、「ネットワークの層構造」の説明は後ほどにし、その前に、アクティブSITAの会員のお宅ではどんな家庭内ネットワークを組んでいるのか、「覗き見」を許してもらい、勉強の素材にさせていただきましょう。
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2.どんなネットワークを組んでいるの?


 レディファーストで、アクティブSITA女性会員のお宅のネットワークを拝見しましょう。上図のように、ADSLモデム、ブロードバンドルータを介して、LANケーブルで2つのパソコンを、無線LANでもう1つのパソコンをつないでいるそうです。

 配線が「ごちゃごちゃしている」と嘆かれていますが、綺麗好きなのでしょうね、筆者などは、この程度では何とも感じませんが。 ただ、右の写真では、ブロードバンドルータと無線LANのAP(アクセスポイント)が分かれていますが、これらを一緒にした「無線ブロードバンドルータ」という製品を使えば(左のネットワーク図ではそうなっている様ですが)、1本のケーブルだけですが、省けますね。

 各パソコンにネットワークの番号(IPアドレス)を付けるのですが、それをしなくてよいDHCP(後で説明します)としています。Win Meのパソコンにつながっているプリンターはどのパソコンでも使えるように、共有設定されています。

 次はエキスパートである会員のお宅のネットワークです。インターネットへの接続は、ルータタイプのADSLモデムを用い、IP電話も導入し、ハブで3台のパソコンをネットワークしています。パソコンへのIPアドレスの付与は、自動取得(DHCPのこと)としています。ルータとモデムにはIPアドレス固定割付が必要です。

 2台のデスクトップ・パソコンに対して、ディスプレー/キーボード/マウスを共用するCPU切替器を使い、省スペース化を図っているそうです。


 3番目の会員のお宅におけるネットワークは左図です。12Mbps ADSL接続で、やはりIP電話も組み込まれています。IPアドレスは、ルータのDHCP機能を使い、3台のパソコンはLANケーブルでつなぎ、2台のノートパソコンは無線LANで機動性を持たせています。

 プリンターもLANケーブルで結んでいて、プリントサーバ機能を持つネットワーク・プリンターになっています。

 次のお宅の左図は、さらに多様なネットワークになっていますね。インターネット接続のためにFTTH、CATV、ISDNと3種類に加入しておられます。グループとしては、FTTH接続のグループとCATV接続のグループに分かれています。IPアドレスは固定割付けで、グループで、別のアドレス体系(ネットワーク・アドレス)を割付けています。

 さて、4軒のお宅のネットワークを拝見して、我がアクティブSITA会員の技量の高さに感心し、いろいろと学ぶことができました。そこで次に、拙宅のネットワークもお見せしなければ失礼と思いますが、実は皆さんのネットワークを見させていただき反省し、急遽再構築したのです。主な改修点は次の通りです。

@ クライアント・サーバ方式ピア・ツー・ピア方式Windowsネットワークにした。
A 場所をとっていた3台のタワー型のデスクトップ・パソコンにCPU切替器を導入し、ディスプレー/キーボード/マウスを共用し、省スペース化した。
B プリントサーバ・モジュールを2台のプリンターに付け、ネットワーク・プリンターとした。
C IPアドレスに関し、サーバ機には固定割付けが必須なので、それとデスクトップ・パソコン、プリントサーバには固定割付けとし、無線LANにつながっているパソコンには、DHCP割付けとし、来客がノートパソコンを持って来ても、容易にインターネット接続ができるようにした。

D これは特殊なのですが、アクティブSITAのサーバを運営しているので、ADSLではアップのデータ速度が遅く好ましくないので、FTTHに変更した。

 これらの結果、左図の様に、すっきりしたと自認しています(実際の配線は「ごちゃごちゃ」ですが)。

 ところで、ネットワーク構築の目的である各PCのリソースの共有化を管理制御する方法に2つあります。

 次図の様に、クライアント/サーバ(C/S)方式の場合にはサーバOS搭載のサーバでネットワークの管理制御をまとめて行うものです。ピア・ツー・ピア(P-to-P)方式は各PCがお互いに対等で共有リソースへのアクセス権などはそれぞれのPCが管理し合う方式です。P-to-P方式は、Windows OS間で容易に実現できるので、家庭内LANの主流になっています。


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3.ネットワークを体系的に理解しよう

 前に説明しかけた「ネットワークの層構造」について説明しましょう。これは大変重要な概念で、今後再三でてきますので、ご理解を。

 ネットワーク機器やソフトを製作することを考えると、異なるメーカや機種間でネットワーク接続が可能とならないと使い物になりません。そのために、ネットワークのOSI参照モデル(Open Systems Interconnection Reference Model) という基準が制定されました。

 さらに、インターネットでは、それを簡略化して体系化しています。ネットワーク一般に適用できるOSI参照モデルとインターネットにおけるレイア(層)構成を左図に示します。

 この層構成はネットワークを構築するときにも役立ちます。なぜなら、ネットワーク機器やネットワークソフトは、この概念に沿って、それらの機能が分かれているからです。

 下表に、各レイアの機能と役割規定を示します。
 前述した家を建築する喩えで言えば、大工が床の大きさを作るには、畳屋が後から来てタタミを間違いなくはめられるように、窓枠のサイズは汎用のアルミサッシの窓が入るようにし、建具屋が建具を入れればおさまるように、等々、各層のかみ合せ(インターフェース)を規定されている様に作りますね。

 ネットワークは、それほど解り易くはないのですが、似たようなものです。大雑把に理解しましょう。

 ネットワークの土台は第1層の物理層です。ケーブルやコネクターの規定やその中を流れる信号の電圧規定等々です。「土管」ともよく言われます。水の流れを支えるのは土管ですが、その中味(情報)はいろいろで、それには関与しなくても土管は作れますから、物理層を構築する技術屋は、「土管屋」と自ら卑下しています。

 物理層の上に、情報はパケット(packet:郵送物の小包と同じです)として伝わります。データリンク層は、パケットについている最初の名札(ヘッダー)のアドレス(MACアドレス)を規定に従って読み、隣接する機器まで間違いなく送るようにします。

 その上のネットワーク層は、小包の規定の場所に規定の大きさ等で付けられている送り先のアドレス(IPアドレス)を頼りに、先方までのルートを決める等をします。インターネットではIP層とも呼ばれています。

 トランスポート層は、先方でアプリケーションで使えるように、送り間違いをしないようにする運び屋です。インターネットでは、TCP層とも呼びます。

 セッション層、プレゼンテーション層、アプリケーション層は、実際の活用する情報の中味なので、インターネットではひとまとめにして、アプリケーション層としています。

 インターネットの4層構造を覚えてください。

 さて、PCやネットワーク機器のそれぞれは、OSI参照モデル、またはインターネット・レイア構造で示すことができます。 

 PCはハードウェア/ソフトウェアを含めて全層の機能を有します。 ネットワーク機器、例えばハブの機能はデータリンク層を、ルータの機能はネットワーク層を担います。 これらで構成されるネットワークのPCからサーバに向かって、ある通信を行う時の情報データの流れを概念的に示したものが左図です。

 OSI参照モデルを理解するに、先に家の構造で説明しましたが、喩えをもう1つ示します。

 左図の左側が手紙の場合で、右側がパソコンネットワークです。アドレスや配達ということが、パソコン通信のIPアドレスや通信回線に類似しており、手紙を送るという「アプリケーション」を通信ネットワークで実現する時を想像してみて下さい。
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4.LANの接続設定の手順

 今回の課題:LAN接続のもとは、「LANの接続設定の手順を教えてもらいたい」という回答からでしたので、それに応答しなければなりません。 まずラフな説明として、家屋が土台から建築されるように、ネットワークも土台から上層へと構築していくのが手順であることはお分かりのことと思います。

 もう少し詳しく、今説明したネットワークの層構造モデルを基にして、LANの接続手順を説明します。


@ まず、物理層です。LANカード(NIC)を装着するとP&Pでデバイス・ドライバがインストールされます。P&Pでない場合は、メーカ提供のドライバを手動でインストールします。(最近のパソコンはほとんどNICが実装されているので、このステップは必要ないでしょう。)

A ハブとPC間はLANケーブルのストレート・タイプで、ハブとルータ間はクロス・タイプで接続します。 無線LANでは、AP(アクセスポイント)とST(ステーション)があり、APはルータなどに、STはパソコンにLANケーブルでつなぎます。

B 次はIP層とTCP層の設定です。 ルータやパソコンのIPアドレスの設定、さらにパソコンではWindowsのインターネットプロトコール(TCP/IP)の詳細設定を行います。DHCPやDNSWINSなどの設定も絡んできます。(詳細は、第3回の「Windowsネットワーク」までお預けですが。)

C リソース共有の設定を行います。プリンター共有、フォルダ共有の設定を各パソコンで行いますが、Windowsネットワークでは、場合によりNetBEUIというプロトコールを実装する必要があります。

D そして、家庭内ネットワークをインターネットに接続します。先ず、1台のパソコンをインターネットにアクセスする機器(ADSL接続ではADSLモデム、FTTHの場合は回線終端装置)につなぎ、回線の接続確認をします。次に、ルータを介し、家庭内ネットワークを接続し、各パソコンから、インターネットにアクセスできることを確認します。 なお、外部との接続にはルータを介するようにしましょう。 ハブでも接続はできますが、それは家庭内LANの砦として弱いのです。この辺の説明は次回にします。
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5.イーサネットとTCP/IP

 第1回の最後に、LANやインターネットのネットワークで最も重要な仕組みであるイーサネット、IP、TCPの3つを理解しましょう。

 イーサネット(Ethernet)は、LANの物理層とデータリンク層(インターネットではデータリンク層とまとめて呼ぶ)の規定で、右図の様に、上位層からの情報(データ)パケットをMACアドレス等でさらに包み込み、フレームとし、伝送路に出します。

このMACアドレスとは、隣接のネットワーク機器(例えばルータ)を指定するもので、そこまで届ける役割なのです。
 
 イーサネットはLANのために開発され発展してきましたが、最近はもっと広域の通信にも使えるほどスピードが上がり、今後、通信網の全てがこれで統一化されるとも言われています(右図参照)。

 さて、ルータを越えて先方まで到達するには、先方のアドレス(IPアドレス)が必要で、それはIP層が役割を果たします。さらに、先方に到達しても、何をしたいのか(何のアプリケーションなのか)をはっきりさせなければなりません。それはTCP層の役割です。



 これらIPとTCPはインターネットのプロトコール(通信手順の規約)の中核で、一般にTCP/IPと言うとインターネットの全てのプロトコールを包含する表現です。下図の様に、TCPではセグメント、IPではパケット、そしてイーサネットではフレームとして情報が厚く包まれて、ネットワークで誤らないように伝わっていくのです。


 説明したいことを極めて縮めたので、お分かり難かったと思いますが、図を幾つか示しましたので、じっくり見て下さい。 では、次回にまたお会いしましょう。

参考資料
[1] ‘TCP/IP 基本の基本’ エーアイムック エーアイ出版 2001.10.10
[2] ‘超入門ネットワーク’ NETWORK MAGAZINE MOOK 2002.11.15
[3] ‘はじめてのWindows LAN2’ 岡田庄司著 秀和システム 2003.11.10
[4] ‘Windowsネットワークがわかる本’ CRN著 毎日コニュニケーションズ 2003.8.1
[5] ‘ネットワークトラブル解決超入門’ 日経BP社 2003.11.25
[6] ‘Windows LAN 逆引き大全’ 金城俊哉著 秀和システム社 2003.9.1
[7] ‘基礎から学ぶWindowsネットワーク’www.atmarkit.co.jp/fwin2k/network/

(第1回終り)

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