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第3回:Windowsネットワーク
1.家庭内LANに特化したWindows XP HE
2.Windowsネットワーク・プロトコールの変遷
3.Windowsネットワークの舞台裏
4.家庭内LANはPeer-to-Peer方式のWindowsネットワーク

第3回:Windowsネットワーク

 いよいよ、家庭内LANの核心に入ります。LAN(Local Area Network)とは、20年以上の歴史を持ち、様々な技術を包含しているネットワークの呼称です。パソコンのOSとして、今日では多くの人がWindowsシリーズを使用しているので、それらを結び付けているネットワークは、LANではありますが、「Windowsネットワーク」とも言われ、LANの主流(特に家庭内LANでは)となっています。Windowsネットワークは、これまでに様々な技術を取捨選択し、時流にマッチするように発展してきました。その様なWindowsネットワークの特徴を捉えて、ネットワークの基本機能と仕組みを解説していきましょう。

1.家庭内LANに特化したWindows XP HE
 Windows OSのネットワーク対応が、Windows XPから相当すっきりしてきました。Windows XPでは、過去のいろいろなネットワーク・プロトコールと完全に訣別し、インターネットプロトコールTCP/IPだけとし、特にWindows XP HE (Home Edition)Peer-to-Peer方式に限定し、家庭内LANを誰でも容易に設定できるようにしています。
Windowsネットワークサービス機能の一覧表です  まだ私達はWindows 98/Me2000 を使っているので、それらが混在するネットワーク設定では面倒な面がありますが、Win XP HEをつないだら、知らないうちにインターネットに接続できていたという経験を皆さんもお持ちでしょう。それが、家庭内LANに特化されている証であり、誰にでも組めるネットワークの実体です。
 Win XP HEでは、しかし、ドメインの設定がなく、Client-Server方式へ参加するには不便になっています。そこで、Client-Server方式に関しては、クライアント用OSWindows XP Professionalを推奨し、サーバOSWindows 2003 Serverを立て、大規模で、よりセキュリティを高めた企業用ネットワーク構築を推進しているのがマイクロソフトの戦略指向の様です。
ローカルエリア接続のプロパティの画面図です  Windows OSシリーズには、クライアント用とサーバ用があります。ネットワーク構築上で重要な「ファイルおよびプリンタの共有」と「インターネット接続共有」機能はどちらにも有り、サーバ用には、さらにサーバ用ソフトが同梱されているという違いが有るだけと考えても大差ありません。話はそれますが、簡易なサーバを作るのであれば、クライアント用OSでも可能で、別にサーバ用ソフトをインストールすればサーバとして成り立ちます。
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2.Windowsネットワーク・プロトコールの変遷

 Windows XP HEでローカルエリア接続のプロパティ(上図)を開くと、プロトコールとして、TCP/IPだけになっています。20年前にIBM社により開発されたNetBEUI (NetBIOS Extended User Interface) Novel社が開発し一世を風靡したNetwareIPX/SPXというプロトコールは、標準ではインストールされません。ですから、Windows XPWindows 95/98/Meのパソコンとネットワーク上でファイル共有するためには、NetBEUIをインストールする必要があります。

Windowsネットワーク・プロトコルの変遷図です  この様なWindows XP での単純化は、TCP/IPLAN構築でも主流となっていることの反映です。

 左図で系列@は、Windows XPでは実装されていない「古いプロトコール」とされつつあります。Windows XPでは、トランスポート層以下をインターネットプロトコール(TCP/IP)のみとしたため、上位層のWindows独自の既存サービスを使うには、左図の系列Aの様に、NBT (NetBIOS over TCP/IP) というプロトコールを介在させています。Windows独自サービスの典型の1つがWindowsネットワークにおいて、「コンピュータ名」(NetBIOS名)を用いるリソース共有サービスです。
Windowsネットワーク・アーキテクチャを示した図です  系列Bは、インターネット標準アプリケーションを「一気通貫」で取り込めるプロトコール・スタックです。Winsock (Windows Socket)というインターフェースがTCP/IPとアプリケーションの間をとり持っています。

 この様な変遷を経て、Windowsネットワークのアーキテクチャは左図の様にまとまってきました。ただ、ネットワークの構築が解り易くなったかと言うと、Windows XPでは「何となくつながってしまう」のはインストール時の「ネットワーク・セットアップ・ウィザート」によるのであって、かえってオブラートに包まってしまい、何をどう変更すればよいか、解り難くなったと言う意見も多い様です。そこで、ここではオブラートに包まれている中身を見ていきましょう。

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3.Windowsネットワークの舞台裏
 パソコンのネットワーク化の目的は「ファイルおよびプリンタの共有」と「インターネット接続共有」であり、そのためには先ず、2つの基本的な舞台裏(右の枠内の@、A)の働きを理解しましょう。

(1) コンピュータ一覧を表示させる機能
 OSインストール時に入力する「コンピュータ名」(半角15字以内)はそのパソコンを特定する重要な項目です。「マイ ネットワーク」アイコンをクリックすると、ネットワークにつながっているパソコン名の一覧が表示されます。それが「コンピュータ名」即ち「NetBIOS名」のリストであり、「ブラウザ・リスト」と呼ばれます。さらに、これを管理する仕組みがあり、「コンピュータ・ブラウザ」と呼ばれています。(インターネットのウェブ閲覧用の「ウェブ・ブラウザ」とは別物です。ブラウズ(browse:「ざっと目を通す」の意)するものも、いろいろ有りますからね。)

コンピュータブラウザの画面説明

OSによるネットワーク構成上の違いの説明

 ブラウザ・リストを見ると、グループ分けにされています。グループ分けにはワークグループとドメインがあり、WindowsシリーズOSで設定の違いが有り、ややこしくしています。

95系ではドメインとワークグループの両方に参加できます。また、それぞれ個別に設定することもでき、この場合には2つのワークグループに参加しているものと、「コンピュータ・ブラウザ」からは見なされます。

・ ホーム系XP HEではワークグループに参加できるが、ドメインの参加設定がなく、機能がスリム化されています。

Windows XP Professionalでは、Windows NT Work StationWindows 2000 Professionalと同様に、ワークグループか、ドメインのどちらかに所属するよう設定します。

 「コンピュータ・ブラウザ」では、ドメイン名とワークグループ名が同一であると、一つのワークグループとして表示されます。

 ところで皆さんは「マイネットワーク」アイコンをクリックし、ネットワークコンピュータの一覧表示(これをブラウジングという)を見ることができますが、その動作設定をしたことはないでしょう。 「コンピュータ・ブラウザ」の動作には、ユーザが設定する部分はなく、ネットワーク化されたPC間で自動的にブラウザ・リストがやり取りされています。 グループ内で1つのPCがブラウザ・リストを管理します。それをマスター・ブラウザ(MB)と呼びます。

 どのコンピュータがMBになるかは、ブラウザ選定という過程を経て決められています。この選定は、Windows OSのバージョンやOSが起動してからの時間などを比較して行われます。 先ず、1台だけが電源を入れた場合は当然それがMBに成らざるを得ません(その場合のリストには、その1台が載るだけなので、あまり意味は有りませんが)。 次々に他のPCにも電源が入りネットワークに参加してくると、OSにより優先順位が付いているので(サーバ系が最優先で、次はプロフェッショナル系で、最後が9x系およびホーム系)、MBを担当するPCが選定されます。
 ネットワーク上で稼動している各PCは、定期的に「ホスト・アナウンスメント」を送出します。MBはその情報を集め、ブラウザ・リストを作成します。各PCは終了時に、その削除要求を出します。ところが、PCが正常終了せずに電源を切られた時などには、この削除要求が送出されないので、リストにそのPC名が表示されたままになることもあります。この「ホスト・アナウンスメント」はある周期で行われるので、最新の情報がブラウザ・リストに表示されるまでに時間がかかります。Win 9x系では最大更新周期は15分、プロフェッショナル系やHE系では最大更新周期は12分と言われています。
ネットワーク上のどのPCMBであるかは、コマンドプロンプトでnbtstat -n と入力し調べることができます。

(2) ネットワーク内の資源にアクセスする機能
 「ブラウザ・リスト」に表示されたコンピュータのアイコンをクリックすれば、そのPCの共有フォルダなどが表示されます。これを可能にする機能は、「コンピュータ一覧を表示する機能」とは別物です。「コンピュータ名(NetBIOS名)」から「IPアドレス」を調べないと、目的のコンピュータにつながりません。「NetBIOS名の名前解決」が必要なのです。

 名前解決の方法に4種類あり、これらもWindowsの変遷と関係していて、こみ入っています。皆さんがネットワークの設定をする時に必要な事項なので、知っておきましょう。
WINS (Windows Internet Name Service) サーバに問合せする方式は、WINSサーバという特別なコンピュータが、NetBIOS名とIPアドレスの対応表を一元管理するもので、家庭用LANの場合、そのようなサーバはないのが一般的ですから、WINSに関する設定は何もしなくて良いのです。

・ ローカル対応表というのは、自分のPCにある「LMHOSTS」というファイルのことです。そんなファイルを作ったことはないと言っても、Windows OSにはもともとインストールされています。LMHOSTSとは、次のような特徴を持っています。

(a) Windowsの設定ファイルの一つで、ネットワーク上のコンピュータのIPアドレスとNetBIOS名(コンピュータ名)の対応を記述したファイルです。

(b) 相手のコンピュータがルータを超えた場所にあり、ブロードキャストでは名前解決できない場合などに用いられます。

(c) 書式はUNIXで使われるhostsファイルとほぼ同じ(行頭にIPアドレスを書き、ホスト名、改行の順)ですが、NetBIOS固有の情報を記述するための特殊な書式も追加されています。

(d) LMHOSTSファイルは、Win 9xではシステムディレクトリに、Win NT/2k/XPではシステムディレクトリ\system32\drivers\etcに置かれています。

(e) 「LM」はMS-DOS時代から使われてきたネットワークソフトのLAN Managerの略です。
Imhosts.sam内の例示  このLMHOSTSは、ネットワーク上のコンピュータが変ったり、IPアドレスが変更されたりすると、ユーザがLMHOSTSファイルを書き換えなければならないという欠点がありますが、ネットワーク状況が固定的ならば、ネットワークへのアクセスが迅速に立ち上がる方法です。

・ ブロードキャストを用いる方法とは、例えば、コンピュータA(PC-A)がコンピュータB(PC-B)へアクセスする場合に、PC-ALAN上の全てのコンピュータに届く「ブロードキャスト・パケット」により「NetBIOS名がPC-BというコンピュータのIPアドレスを教えてください!」と叫ぶと、もしPC-Bが稼動していると「PC-Bは私です。IPアドレスは xxxxx です。」と返答するので、IPアドレスがわかります。

DNSサーバはインターネットで使われる一般的なDNS (Domain Name Server) で、そこにWindowsコンピュータ名をIPアドレスと結び付けておく方法です。家庭用で用いることはまずないので、無視してよいでしょう。

 コンピュータがネットワークにアクセスする時にNetBIOS名の4つの名前解決方法に優先順位があり、その順序で先方のIPアドレスを探します。NetBIOS名前キャッシュは、起動時にLMHOSTSファイルから読み込まれるものです。そのキャッシュの内容がどうなっているかは、コマンドプロンプト nbtstat -c で調べることができます。また、自分のパソコンが名前解決にどの方法を使っているかは、コマンドプロンプト ipconfig /all と入力し、表れる情報の中の「ノード タイプ」(Node Type)に示されます。その表示は下表のようなものです。

表     示
概     要
Broadcast ブロードキャストだけを使用する
Point-to-Point WINSサーバへの問合せのみを行う
Hybrid WINSサーバへ問い合わせ、だめならブロードキャスト
Mixed ブロードキャストでだめなら、WINSサーバへ問い合わせる
Unknown 設定が明確でなく不明の場合

 名前がIPアドレスと結び付けられ、所望のコンピュータにつながります。
その前に「ファイル共有」設定や「プリンタ共有」設定をしておく必要がありますが、ここでは説明を省略します。

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4.家庭内LANはPeer-to-Peer方式のWindowsネットワーク
 家庭内LANは今やWindowsネットワークと同意語と言ってもよいでしょう。
LAN関連の重要用語の相関図

これまでに説明しました用語の中から、家庭内LANを構築する際の重要なキーワードをピックアップすると左図に青字で示すものになります。

 NICLANケーブル、ハブ、ルータなどの下位層を構成する「物」が必要なのは言うまでもありませんが、「WORKGROUP」にグループ化した「Peer-to-Peer方式」のネットワークで、DHCPIPアドレスを自動割り付けし、ルータの「IPマスカレード」機能により、複数のコンピュータから同時にインターネット接続できるようにすれば、出来上がりです。

 今回は「Windowsネットワーク」の舞台裏を説明しましたが、分り難い説明かなと筆者自ら反省しています。ともあれ、ほぼこれまでで、家庭内LANの基本機能の説明をカバーしました。

 さらにネットワークの理解を深めるために、次回は「ISP接続」を解説します。では、またお会いしましょう。

参考資料
[1] [1] 'Windowsネッワークスキルアップ テキスト' 斗光佳輝著 CQ出版 2003.9.1
[2] 'ネットワークトラブル解決超入門' 日経BP社 2003.11.25
(第3回終り)

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